日本HPの「HP EliteBook 8440w/CT Mobile Workstation」は、14型ワイド液晶ディスプレイを搭載したモバイルワークステーションだ。タフな利用に耐える堅牢性と高級感を兼ね備えたボディ、新世代CPUを採用したハイパフォーマンスが光る。
【拡大画像や他の画像】 【表:ベンチマークテストの結果】
HP EliteBook 8440w/CT Mobile Workstation(以 Lineage rmt
下、EliteBook 8440w)のボディは、ダークなシルバーとブラックのツートーンを基調にしたカラーリングで、金属の質感を生かした仕上げと、直線的でシャープなラインが印象的だ。アルミニウムの天面はアルマイト加工とヘアラインで仕上げており、ソリッドな剛性感ある素材がキッチリとタイトに組まれているため、手に持った感触も実にがっしりと安定する。液晶
部は手前側にある金属製のボタンをプッシュするとロックが外れるが、このボタンの精度も高く、押した感触がとても心地よい。
ボディのサイズは336(幅)×237(奥行き)×31.3?39.5(高さ)ミリ。重量は光学ドライブの搭載やバッテリーの種類によって異なるが、最小2.24キロ?最大約2.54キロと、モバイルというには少し重い。14型液晶を搭載しているこ
とからも、常時携帯するというよりは、快適な仕事環境を実現するフルスペックのPCをそのまま持ち出せるという可搬性に重きを置いた製品だろう。ちなみに、ACアダプタのサイズは48(幅)×124(奥行き)×30(高さ)ミリで、ケーブル込みの重量は約410グラム。ケーブルが3ピンでかさばる点は少々残念だ。
ボディ背面に搭載するリチウムイオンバッテ
リーは6セル(55ワットアワー)と9セル(100ワットアワー)の2種類が用意されており、さらにオプションでは底部に装着する8セルのセカンダリバッテリー(52ワットアワー)も用意されている。公称の駆動時間は搭載CPUによって異なっており、クアッドコアのCore i7搭載時は6セルで約4時間、9セルで約7時間、9セル+セカンドダリバッテリーで約10時間だ。
また、デュアルコアのCore i7/Core i5搭載時には6セルで約5時間、9セルで約8時間、9セル+セカンダリバッテリーでは約12時間となっている。6セルバッテリーの重量約320グラムに対して、9セルは約480グラム、さらにセカンダリバッテリーは約455グラムあるため、駆動時間を求めると相応に重くはなるが、用途に合わせた使い方ができる選択肢が用意され
ている点はありがたい。
●クアッドコアCPUも選べるハイパフォーマンス
CPUをはじめとする主要なパーツはBTOで柔軟にカスタマイズしてオーダーできる。プリインストールOSの選択肢も豊富で、Windows XP Professional(Windows 7 Professionalのダウングレード)、Windows Vista Business、Windows 7 Professionalと3世代が用意されており、Windows 7
Professional(32ビット版/64ビット版)では英語版を選ぶこともできる。CGやCADなど専門的アプリケーションの利用も想定したモバイルワークステーションならではの柔軟性といえるだろう。また、ハードウェアの選択肢が性能面にこだわった内容となっているのも特徴だ。
特にCPUは強力で、クアッドコアのCore i7-720QMを筆頭に、デュアルコアのCore i7
-620M、Core i5-540Mと、最新の高性能CPUが選べる。評価機が搭載していたCore i5-540Mは、基本動作クロック2.53GHz、Intel Turbo Boost Technologyにより最大3.06GHzで動作する。デュアルコアだがHyper-Threadingに対応しているため同時4スレッド処理が可能で、マルチスレッドに最適化されたアプリケーションも高速に処理できる。
チップセットはIntel QM57
Expressを採用する。グラフィックス機能は別途NVIDIAのエントリーワークステーション向けGPUであるQuadro FX 380M(ビデオメモリ512Mバイト)を搭載している。CGやCADアプリケーションで広く利用されているOpen GLに最適化されており、数多くのアプリケーションの動作認証も受けているため、安心して利用できるだろう。
メモリはPC3-10600に対応
しており、最大8Gバイト(4Gバイト×2枚)まで搭載可能。データストレージには320Gバイトか500Gバイトの2.5インチのHDD(7200rpm)、または160GバイトのSSDが選べる。HDDでも7200rpmの高速タイプを採用しているところに性能面へのこだわりが感じられる。HDDを振動や落下から保護する3Dドライブガード機能を装備している点も心強い。なお、メモリスロット
(2基)、HDD/SSDベイにはボディ底面のカバーから容易にアクセスできる。
●着脱可能なドライブベイなど充実機能を装備
本体右側面手前には着脱式のドライブベイ「アップグレードベイ」を装備しており、光学ドライブか、セカンドHDDなどを交換して使えるようになっている。光学ドライブはDVDスーパーマルチドライブのほか、BD-REドラ
イブも用意されている。ドライブを搭載せずに軽量化することも可能で、目的に応じて柔軟な運用が可能だ。
通信機能はIEEE802.11a/b/g/n準拠の無線LAN(Intel Centrino Ultimate-N 6300)、ギガビットLAN(Intel 825577LM)、そしてBluetooth v2.1を標準で装備するなど充実している。また、本体にはSDメモリーカードスロット、アナログRGB出力、3基のUSB2.0
ポートといった基本的な端子類に加えて、eSATA/USB2.0兼用ポートやExpressCard /54スロット、DisplayPort(アナログRGB出力への変換ケーブルも付属)などといった先進かつ高速なインタフェースも装備する。さらにスマートカードスロットも備えるなど、充実した内容だ。
液晶ベゼル上部には200万画素のWebカメラとステレオマイクを装備しており、外
部デバイスなしでテレビ会議やビデオチャットを高画質で楽しめる。本体手前側に名刺を挟み込めるスリットが用意されており、そこに挟んだ名刺をカメラで撮影しての名刺読取/管理ができるソフトウェア「HP Business Card Reader」も付属している。
●心地よいキーボードなど入力環境もハイレベル
14型ワイドサイズの液晶ディスプレイは、1366
×768ドット表示に対応する「HD液晶ディスプレイ」と、1600×900ドット表示に対応する「HD+液晶ディスプレイ」の2種類が選択できる。いずれもLEDバックライトを採用しており、CCFLバックライトの製品に比べて省電力で劣化の心配が少ない。外光が映り込みにくい非光沢の表面仕上げのため、場所を選ばずに利用できるのもポイントだ。特別鮮やかという印象はな
いものの、ナチュラルな発色で、輝度は十分にあり、総じて表示品質は高い。また、周囲の明るさをセンサーが感知して画面の明るさを自動調整する「周辺光センサー」機能も搭載している。
キーボードの作りも実にしっかりしている。主要キーのキーピッチは約19×約19ミリとフルサイズを確保し、半段下げて配置したカーソルキーも約18×約12ミリと十分
なピッチがあり、極端に小さくなっているキーは見あたらない。Enterキーの右にPgUp/PgDnキーがある配列だが、両者の間には仕切りが設けられ、約8ミリと十分な間隔があり、ミスタイプの不安はなさそうだ。2階建て構造のような独特なデザインのキートップは、マットな塗装でザラッとした感触があり、ベタつきにくい。また、微妙なカーブがつけられているため
、指を置きやすく、スイッチの感触も良好だ。ただし、キートップの材質がやや薄目で、心なしか空気が漏れるような音がする点は気になった。キーボードユニットのボディへの固定はしっかりしており、強くタイプしてもたわむような感触はない。パームレストは天面同様にアルミニウムをアルマイト加工し、ヘアラインが施されている。ソリッドな剛性感もあり、奥
行きも84ミリと広く、全体的に非常に打ちやすい入力環境といえる。
ポインティングデバイスは、スティック型ポインタと2ボタン式タッチパッドの両方を備えている。スティック型ポインタはスティックを押したり叩いたりすることでマウスクリックの代わりになるプレスセレクト機能に対応している。左右独立成型のボタンはやや音が安っぽいが、スイッ
チの感触は悪くない。キーボードの手前側のタッチパッドは76×33ミリと適度な大きさがあって滑りも良好だが、ボタンのスイッチはやや下にある印象で、頻繁に利用すると少し疲れる。Synapticsの多機能ドライバが導入ずみで、2本指での上下/左右スクロールやつまみズーム、回転、3本指で弾くなどのマルチタッチジェスチャー機能が標準で有効となっている。なお
、USB接続のホイール付きの光学マウスも同梱している。
●ベンチマークテストで高い基本性能を実証
今回の評価機は、CPUがCore i5-540M(2.53GHz/TBT時最大3.06GHz)、メモリ2Gバイト、320GバイトHDD(7200rpm)、NVIDIA Quadro FX380M(ビデオメモリ512Mバイト)、1366×768ドット液晶、DVDスーパーマルチドライブ、6セルバッテリー、
OSはWindows XP professional(SP3、32bit)という構成だ。最小構成に近い内容だが、それでも持ち運べるサイズのノートPCとしてはかなりハイスペックである。
ベンチマークテストの結果も優秀で、CPU/チップセット内蔵グラフィックス機能が使われることが多い低価格ノートPCではスコアが低くなりがちなPCMark05のGraphicsでも5000近いスコアをマーク
し、どの項目もまんべんなく高い結果を出している。高速なSSDほどではないが、7200rpmと高速タイプのHDDを搭載しているためHDDスコアも2.5インチHDDとしては非常に優秀である。
3DMark06の結果はCPU/チップセット内蔵GPUよりは少し良いという程度。本格的なゲームプレイには向かないものの、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3では高いスコ
アをマークしており、オンラインベースの比較的負荷が低いゲームなどなら十分対応できるはずだ。
バッテリー駆動時間のテストは、BBench1.01(海人氏?作)で行った。無線LANで常時接続し、BBenchの設定は「120秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」「20秒間隔でのキーストローク」を利用した。本体の電源設定は「HP Power Assistant」で設定されている「
勤務先」の液晶ディスプレイの輝度を40%にカスタマイズして行なった。結果は3時間46分(残り2%)で、6セルバッテリー搭載時の公称値である約5時間には及ばなかったものの、常時接続環境でも十分実用的なバッテリー駆動時間を持つといえる。
PC使用時の動作音に関してはまずまずといったところで、うるさいというほどではないものの、アイドル時
でもファンノイズは聞こえるレベルだ。また、GPUに負荷がかかる3Dゲーム時のテストでははっきりと音量が上がった。一方、発熱の処理は非常に優秀で、一連のベンチマークテストを実行した直後でもパームレストやキーボードはほとんど熱を持たなかった。室温23度の室内で測定したボディの表面温度は、最も熱い底面左側でも35度と低く、静音性よりもしっかり放
熱を行うことで作業の快適度を重視した設計になっているようだ。
●ワンランク上の高級ノートPCとしてもおすすめ
高いパフォーマンスや豊富なオプションを含む充実した機能だけでなく、ボディの堅牢性と信頼性、完成度の高い入力環境、優秀な熱設計など、ノートPCとしての基本的な部分のクオリティも超一流だ。開発環境をそのまま外に持ち
出すモバイルワークステーションとして活躍できる実力を備えている。
もっとも、特にワークステーションとして用途を限定する必要もないだろう。高級外車のような質感の高さや心地よい操作性は、一般のビジネスユースで利用するノートPCとして見ても実に魅力的だ。他人とはひと味違う、ワンランク上の高級なノートPCを求めているなら購入を検討し
てみてはいかがだろうか。
HP DirectPlusでの販売は原稿執筆時点でまだ開始されていない(4月上旬販売開始予定)。価格が公開されている「スタンダードモデル」は、Core i5-540M、2Gバイトメモリ、250GバイトHDD、光学ドライブなし、1366×768ドット液晶、32ビット版Windows 7 Professionalといったスペックで12万6000円となっている。ボディの品質も考
慮すればこれでもコストパフォーマンスは悪くないだろうが、HP DirectPlusでは随時お得なキャンペーンなどが開催されるので、興味があるならばこまめにチェックしておきたい。【鈴木雅暢】
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引用元:エターナルカオスNEO(NEO) 情報局
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